ブラームス 交響曲第2番

ハンス・シュミット=イッセルシュテット/北ドイツ放送交響楽団

[1967年10月30日]

[hitoderan's opinion]
 ブラ2を聞きたくなるときがある。
 今日は、輸入盤・SCRIBENDUMレーベルの全集からセレクトしてみた(1967年録音)。
 冒頭のホルンがまず音程・バランス共に問題ありで、そこは笑うしかないが、すぐさま集中力は戻るので大丈夫。期待に違わない上品な指揮ぶりで、ブラ2を聞きたいときの心にすっと染み入るようだ。全てにおいて自然な音作りで、ハッタリやブラフとは無縁の世界が広がる。見渡せば下品かさもなくばエセな上品が多いという世の中で、この演奏の上品さは貴重だ。恥ずかしさを押し殺して告白すれば、神々しさすら感じる。
 それでいて、4楽章のラスト(7:35-)はしっかりテンポが上がり、豪壮に終わるのもよい。特筆すべきはその加速で、加速時に動きの見えにくい低弦の動きを強調することで、オケ全体の回転数を統一的に上げているように聞かせるのには脱帽。文句なしの名演です。
 残念な点を挙げるなら、最後の最後で1番トランペットがバテバテ(しかも2番が吹きすぎ)なところ。あと、録音も最後少し乱れる。

[SCRIBENDUM]

★★★★★(但し、こまごました事故は各所にある。無傷の演奏ではない)

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

[1986年6月]

カラヤン/ベルリン・フィルによる3度目のブラームスツィクルスより。


[hitoderan's opinion]
 オーケストラがひとつあれば必ず数人はいると思われる(笑)、カラヤン狂。そのカラヤン狂のホルン仲間に触発されて、ブラームスの交響曲2番を聴いてみました。
 ・・・聴き始めた数分後、BGM的に聴こうとしたことを後悔し始める。オーケストラのアンサンブルとかそういったレベルの話でなく、正に呼吸を一にしているのが音で分かります。4楽章で若干の乱れが出ているのが残念ですが、それを差し引いても神懸かった一体感です。比喩などではなく、いま聴いているのがオーケストラによる音楽であることを忘れてしまいます。言い換えれば、「純粋に」ブラームスの交響曲2番と「直接」対面している、という感じでしょうか。
 カラヤンの指揮ぶりも素晴らしく、徹頭徹尾、揺ぎ無い(しかし頑固ではない)信念に基づいて音楽を作っているのが分かります。オーケストラというものを理解しつくしているというのが私にすら分かる、そんな演奏です。カラヤンというと、残した録音があまりに膨大なため、あまり演奏の良くない音源が訳の分からないレーベルから大量に出ているので、私にはその印象が割と強かったのですが、今日はその不明を恥じるばかりです。「帝王」なんていう恥ずかしいニックネームも「カラヤンなら仕方ないか・・・」と、すっかりカラヤンびいきになった秋の一日。

[ユニバーサル]

★★★★(好みの問題になるが、4楽章はもう少しはっちゃけて欲しい。ラストのトロンボーンも微妙に惜しい。しかし、それ以外はまさに完璧。自信を持って推薦します。)

エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

15'31, 09'10, 05'01, 09'16 [1978年4月29日]

トスカニーニに師事したかったというムラヴィンスキーらしく、速めのテンポでグイグイ進む。小気味のいい佳演。

[Victor]

★★

エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

15'25, 09'12, 04'57, 08'43 [1978年6月13日]

1978年ウィーンでのライブ。評価はビクター盤による。ALTUSからムラヴィンスキー夫人提供の音源をもとにしたものが発売されているが、そちらは未聴。

[Victor]

★★